オステオパシーとは

オステオパシーって何?

皆さんが最も気になるところだと思いますので、現代医学と比較しつつじっくりと説明したいと思います。
長い文章ですが、オステオパシーを理解していただくことは治療にとって
とても大切だと思うので、是非ともご一読ください。


Find it, Fix it, and Leave it alone. (Dr. Andrew Taylor Still)
「病変を発見し、それを治療し、そして放置せよ」

これはオステオパシーの創始者、アンドリュー・テイラー・スティル医師の遺した言葉です。
この言葉こそオステオパシーの治療哲学を表しています。本当の原因を見抜き、それを正しく調整してあげれば後は身体が持つ自然治癒力が自ずとあなたを快方へ導いて行ってくれる。オステオパシーの勉強を始めて最初にこの言葉を聞いたとき、身震いがするほど感動したことをはっきりと覚えています。
外から身体に薬品を入れて症状を打ち消すのではなく、身体を整えて人が備えている治癒力という母なる自然に任せればいい。1800年代にすでにこんな哲学を体現した人がいたことが衝撃的でした。

オステオパシークリニック・リンク

Dr. Andrew Taylor Still
(1828~1917)




オステオパシーの歴史

スティル先生自身、元は西洋医学を修めた外科医でした。
しかし、彼は自分の子供を何人も病気で亡くしてしまうという悲劇に直面します。

これをきっかけに、彼は自分が修めてきた医学では足りないものがあるのではないかと考えました。そこで人の身体を徹底的に調べ、研究することに没頭します。そしてついに、「病気で亡くなった人の身体には必ず解剖学的な異常がある」という事実を突き止めます。生前にこうした解剖学的な異常(歪みや緊張など)を整えておくことが出来れば、彼らは病気にならなかったのではないか? 
ここからオステオパシーという新たな医学が産声を上げます。

スティル医師はそれまで行っていた薬の処方をやめ、
自身の手を使って患者の身体を調整していく治療を施しながら各地を巡りました。

結果的に彼は患者や同僚からも変わり者扱いされ、孤高の道を進むことになったそうです。やがて彼はミズーリ州のカークスビルという町に落ち着きます。すると、彼の施術を受けた患者やその噂を聞きつけた人たちがこぞって町に訪れ、小さな町が果てには大きな都市にまで発展するに至ったそうです。

1874年、ついにスティル先生は自らが作り上げた治療法を、
ギリシャ語で「骨」を意味する言葉「Osteon(オステオン)」、
病を意味する言葉「Pathos(パソス)」を組み合わせて「オステオパシー」として発表しました。

世界で初めてオステオパシーを教育する大学機関としてKCOM(Kirksville College of Osteopathic Medicine)を設立。
現在もオステオパシー教育の最高機関としての役割を担っています。アメリカ本国において所定の教育課程を修了した者はドクター・オブ・オステオパシー(D.O)の称号を与えられ、手技による治療の他、薬の処方、外科手術など医師としての全ての権限を認められたスペシャリストとして活躍しています。

医療や一般的な整体・整骨院ではしない(できない)こと


オステオパシークリニック・リンク

熱を出すこと自体は決して悪いことではなく、
身体が異物に対して抵抗し、
免疫機能を使って戦っている証拠です。

薬品の進歩は現代医学の発展の根幹ともいえます。確かに医学で用いられる薬の効果はすごいものがあります。高熱を一晩で鎮めることができたり、眠れないほどの痛みを抑えたり。私たちは幼少の頃からその恩恵を受けて育ってきました。でも、それ故に身体が発している声に耳を傾けることを知らずに過ごしてきてしまったとも思います。
本来、熱を出すこと自体は決して悪いことではなく、身体が異物に対して抵抗し、免疫機能を使って戦っている証拠です。いわば生き抜くために身体が自然に備えている機能なのです。確かに熱があると身体はしんどくなりますが、せっかく戦っている免疫機能を無視して、薬品によって発熱を抑え込むという行為は果たして100%正しい選択と言えるでしょうか?痛みについても同じことが言えます。通常、痛みを感じるということは身体のどこかに異常があるからです。


治す必要があるからこそ、痛みという感覚は不快に感じるようになっています。

もしも痛みが心地よい感覚だったら、人は一切身体のダメージを気にしなくなっちゃいますからね。そのようにせっかく身体が発している信号を痛み止めの薬や注射で散らしてしまう。でも、痛み止めには関節を正しい位置に戻したり、緊張している組織を正常なテンションに戻したりするようなことはできません。文字通り痛みを感じる神経を鎮めるだけです。よく考えるとこれって怖くないですか?その時はこれで良いかもしれませんが、原因が解決されないまま何年、何十年と経過していってしまったら、、、。

オステオパシークリニック・リンク やがてもっと強い症状となって噴き出してくるのではないでしょうか。場合によってはより強い痛み止めを飲むため、同時に胃薬を処方される方もいます。もはや本末転倒とも言えます。 その結果、痛みが引かない上に胃の調子までおかしくしてしまう。 でも、残念ながら病院だけでなく、他の多くの治療院で行われている治療内容の多くもこれとあまり変わらないんじゃないかと思います。このサイトをご覧のあなたもそんな治療を受けた経験はありませんか?だからこそ困ってはいませんか?

問題なのは「患者さんが何も訴えない部位には全く注目されなくなってしまう」いうこと。

長野市の治療院オステオパシークリニック・リンク
こうした治療の問題点はなんでしょうか?それはズバリ、「患者さんの訴えにしか注目していない」ということです。先の例を使えば、「熱があります」→「解熱剤で熱を下げましょう」、「腰が痛いです」→「痛み止めの薬を出しましょう」となります。リハビリや整体院では「腰の周りを温めてマッサージしましょう」というような感じになります。つまり、患者さんが訴える症状に対して処置を行う対症療法です。これ自体は決して悪いことではありませんが、問題なのは「患者さんが何も訴えない部位には全く注目されなくなってしまう」ということです。つまり、患者さんの症状を引き起こしている原因が同じ部位に無かった場合、そこに対する処置は全く意味がなくなってしまいます。逆に不要な薬品を身体に入れているだけということにもなりかねません。こういう患者さん達が困ってしまうのです。それではなぜこういったことが起きてしまうのでしょうか?答えは簡単。多くの治療現場では、患者さんの身体を隅々まで調べることをしないからです。そうする方法を知らないからとも言い換えられるでしょうか。たとえ病院であっても、レントゲンやMRI、血液検査などで明らかな異常が見られなかった場合、「原因は良くわかりませんが、とりあえずこの薬を出しておきますので飲んでみてください。それでも改善しなかったらまた受診してください。」ということになります。画像や数値で判断する以外に方法があまり無いのだと思います。


そこで我々オステオパスの仕事!

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オステオパシーでは訓練された人の手の感覚を頼りに身体にある病変を探し出します。
通常、病変は身体を構成する組織の「硬さ」として検出されます。正常な組織が持つ硬さとそうでは無い硬さ。これを識別するのがオステオパスの仕事であるといえます。こうした病変は病院での検査だけでは拾いきれません。画像に組織の硬さは映りませんからね。だから人の手で触れて、動かしてみる必要があるんです!

人体には全ての組織を互いに繋ぎ、連絡している「膜」という構造物がある。

オステオパシーの治療に関して大切な要素があります。それは人体には全ての組織を互いに繋ぎ、連絡している「膜」という構造物があるということです。鶏肉を食べると肉の繊維の中に半透明のシート状の物が伸びてくるのを見たことがあると思います。人体にはそれよりも分厚くて強靭なものが体中に張り巡らされていると思ってください。この膜という組織が体内の縦も横も、浅いも深いも縦横無尽に走っており、互いに組織を繋ぎとめているのです。

つまり、膜を介して足と頭蓋骨、皮膚と骨ですら直接つながっているのです。これがオステオパスがどのような症状を訴える患者さんに対しても毎回全身を検査する理由です。症状はあくまで乱れた身体の構造がもたらした「結果」でしかありません。あなたが悩んでいる症状を引き起こしている原因は、膜の繋がりを介した全く別の部位にある可能性があるのです!
オステオパシーの治療テクニックはこの膜に生じた捻じれを解消し、全身の全ての組織に血液を始めとした体液を隈なく巡らせることを目的としております。その結果、人体が生来備えている自然治癒力を最大限に発揮できるように促し、患者さんの身体が自ら改善していくように作用し始めるのです。